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  • 執筆者の写真桑原

問題解決力を高める発想の技術

もう一週間前で恐縮ですが、9月26日土曜日に、NPO法人RyuSun様主催のオープンセミナーで「問題解決力を高める発想の技法」という話をしてきました。

久しぶりに多くの人を集めての集合型リアルセミナーなので、自分でも少し肩に力が入っていることを感じましたが、やり始めると楽しく進めることができました。



今回お話したことは、以下の5つです。

1. 問題解決する場面は日常にある。

2. 問題解決とは分析と発想の両輪を駆使する。

3. 具体的な発想のやり方:ブレインストーミング

4. 具体的な発想のやり方:SCAMPER法

5. 具体的な発想のやり方:シックスハット法

それぞれについて簡単に振り返ります。

問題解決という言葉は「難しそう」という印象を持たせることが多いです。

問題は私たちの日常に転がっているもので、それを意識するかしないかだけの違いではあるが、いつも何らかの問題解決をしているということをお話ししました。

例えば、「地域のコミュニティー活動をもっと活性化したい」という大きなテーマから、「箪笥の上にある物を取りたいのだけど手が届かない」という今まさに対応したいことまで、問題の大きさに差はあるけれども、存在しているわけです。

それらを解決していくためには、やみくもに考えるのではなく「何らかのフレームワーク」を知っているほうが良いのです。

例えば、分析については「9画面法」で問題発生の状況を観察し、「なぜなぜ分析」で問題発生のメカニズム(因果関係)を明確にすることができます。

9画面法とは、私が専門にしているTRIZ(世界中の特許を分析して得られた発想法)を由来にしています。縦軸を空間的な視点、横軸を時間的な視点の9つの窓に区切ってよく観するというものです。

なぜなぜ分析は、TPS(トヨタ生産システム)で最もよく知られている方法で、「問題の表面的な現象にとらわれるのではなく、その発生原因を明確にする」ために「なぜそうなるの?」という問いかけを重ねていく方法です。

一方、発想では「創造的に考えるためのマインドセット」でできるだけ先入観をなくし、「発想のフレームワーク」から提案される視点に沿ってアイデアを創出します。

先入観とは、「思い込み」であり「前提条件」です。問題解決を行うときに先入観は邪魔にしかなりません。もちろん実行プランにまで磨き上げるときには「制約条件」を明確にすることが求められますが、解決アイデアを考えるときにはできるだけ先入観を持たずに取り組むようにしましょう。

発想のフレームワークを持つことは、いいアイデアを生み出すうえで強みになります。

最も基本的な発想のフレームワークは「ブレインストーミング法」でしょう。

「自由な発想で」「誰からも批判されることなく」「数多くの」アイデアを「メンバーの発言も参考にして」創出する手法です。

これは先入観を排除するための具体的なルールでもありますので、まずはこの4つのルールを守ってアイデア創出に取り組むことを意識しましょう。

ただ、「自由に考える」のは意外に難しいことも事実です。

そこで、もっと具体的な視点を提供してくれるフレームワークを紹介します。

まずはSCAMPER法です。

SCAMPER法とは、次の7つの視点に沿ってアイデアを出していきます。

S:何かで代用できないか?

C:何かと組み合わせてみたら?

A:何か別の用途に応用できないか?

M:何かを大きくしたり小さくしたり修正してみたら?

P:ほかの使い方ができないか?

E:何かを取り除いてみたら?

R:今までと逆にしてみたら?

それぞれが英語の直訳ですこしとっつきにくい表現になっていますが、あまり厳密にとらえずに直感的に解釈して活用しましょう。

セミナーでは「Withコロナ社会の新しいマスクを考えよう」というテーマのワークをしながらSCAMPER法を学んでいきました。

今回出たアイデアをいくつかご紹介します。



皆さんは、ほかにどのような新しいマスクのアイデアが浮かびますか?

続いてシックスハット法です。

シックスハット法とは、文字通り「6つの色の帽子」をかぶりながら、それぞれの帽子に与えられた役割の下で意見やアイデアを出し合うやり方です。

それぞれの帽子の役割は次のようです。

白い帽子:現状を理解するために情報を出し合う。

赤い帽子:そのテーマに対する自分の感情や気持ちを出し合う。

黄色い帽子:そのテーマにおける良いところを探しあう。

黒い帽子:そのテーマの欠点やリスクを出し合う。

緑の帽子:これまでの議論をもとにして創造的な意見を出し合う。

青い帽子:管理や整理など議論をコントロールするための時間を作る。

セミナーでは「今の会議をもっと生産的にやるためにはどうしたらいいか?」というテーマでのワークをしました。

私はシックスハット法でもそれぞれの役割で出した意見を参考にして最終的に緑の帽子に行くと良いと考えていますので、ホワイトボードをこのような5分割にしてファシリテートしていきます。

こちらもいくつか紹介します。



皆さんならどのような意見が出ますか?

SCAMPER法は、新しい商品やサービスのアイデアが欲しいときに効果的に使えます。シックスハット法は、何らかの事象や困っていることを順序だてて解決したいというときに効果的です。

今回参加いただいた方々からは、好意的な意見をたくさんいただきました。

Aさん(30代女性):新しいアイデア出しの方法が知れてよかった。グループディスカスの時間がもう少し欲しかった。

Bさん(40代男性):道しるべができて自分でやってみたいと思った。

Cさん(40代女性):テンポよくわかりやすかった。

Dさん(30代女性):簡潔でよかったです。もう少しワークの時間が欲しかった。

Eさん(40代男性):わかっていることと実施できるかは全然違うことに気づいた。自分の顧客に対して提案コンテンツを作成するときに活用したい。

今回は、コロナウイルスの感染拡大防止の点を意識したので、従来のグループワークではなく個人ワークでの学びを重視して進めていきました。そのために、グループワークの時間不足を指摘される方もいらっしゃいました。次回以降の運営の参考にいたします。

創知堂は、これからも皆様の問題解決力を高めるためのセミナーやワークショップを開催していきます。

開催のご案内は弊社HPやFacebook、noteなどで告知をしてまいります。

ご興味のある方はまた是非ご参加ください。

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