思考に制約をかけて発想する。シックスハット法というやり方
アイデアを出すために良く使われるのはブレインストーミング(BS、ブレスト)法やKJ(親和図)法です。
発想法は大きく「発散思考」と「収束思考」の2つに分類されることが多いです。
ブレインストーミング法は「発散技法」ですから、自由に考える事に向いています。
一方、KJ(親和図)法は「収束技法」ですから、アイデアを整理しながら新しい知見を得る事に向いています。
ブレストは自由にアイデアを出してもらう手法です。
*過去記事:「自由に考える事の:ブレインストーミング法について」
しかし、自由に考えれば良いと言われてもなかなかうまくいかないことも多いですね。
その時に役に立つのが「チェックリスト法」や「アナロジー法」ですが、今回はあまり知られていないけど、思ったよりパワフルだと思っている「シックスハット法」について説明します。
「シックスハット」とは読んで字の如し「6つの帽子」です。
それら6つの帽子を使った「状況固定発想法」というやり方です。
6つの帽子はそれぞれ色と役割(状況)が決められています。
白色の帽子:情報、状況
赤色の帽子:感情、思い
黒色の帽子:悲観、ネガティブ、マイナスリスク
黄色の帽子:楽観、ポジティブ、プラスリスク
緑色の帽子:創造、アイデア
青色の帽子:管理、整理
普通は、参加者全員が同じ色の帽子を被り(実際にかぶるわけではありませんが…(笑))、ステップごとに帽子の色を変えながら進めていきます。
つまり、白い帽子を被った時には、意見やアイデアは一切出さずに参加者全員で今置かれている状況や事実を書き出していき、次の赤色の帽子の時に、話し合うテーマについて感じている事を書き出していきます。
被る帽子の色の順番は特に決められているわけではありませんが、多くの場合は白色→赤色→黒色→黄色→緑色と進めていき、適宜方向修正や状況把握のために青色を使うという流れです。
では具体的に、「会社の会議をもっと生産的なものにするためにはどうしたら良いのか?」というテーマについてアイデアを考えるとしましょう。
まず「白い帽子:情報」を被ります。
この時は「会議開催の情報」を書き出します。
例えば、「会議の開催時間は18:00」「会議の終了時間は19:00」「毎週水曜日開催」…という感じです。
次に、「赤色の帽子:感情」を被ります。
この時には「会議中に感じる事」を書き出します。
例えば、「時間が長くてつまらない」「早く帰りたいのに…」という感じです。
更に、「黒色の帽子:悲観」を被ってみましょう。
この時は「会議を実施する事による弊害や懸念」を書き出してみます。
例えば、「今抱えている仕事が遅れる」「会議のテーマがつまらないので時間のムダ」…という感じですね。
続いて「黄色の帽子:楽観」を被ってみます。
「とはいっても、今の会議にも良い所はあるでしょう?」という視点です。
例えば、「いろいろな人の意見が聞けるのは面白い」「上司の意向がわかる」…です。
そこで、満を持して「緑色の帽子:創造」を被ります。
もちろん「会議を生産的にするためにはどうしたら良い?」という視点です。
すでにここまで進めると、今回のテーマである「会議」についていろいろな視点からの意見やアイデアの萌芽が見えてきました。「ネガティブな視点を逆にするためには?」や「今の会議の良い所を更に伸ばすためには?」という視点でアイデアを出しましょう。
例えば、「会議の内容を事前に参加者に知らせて考えてきてもらう」や「今の会議の時間が長すぎるから、一回の会議の時間は短くして回数を増やす」とか、「参加者が多すぎるからもっと小さいグループに分けたらどうか?」というアイデアですね。
この「シックスハット法」についてのワークショップを12月に開催します。
ご興味のある方は是非ご参加くださいませ。
