【解説】TRIZという発想法:災い転じて福となすの原理
私が専門にしているTRIZという発想法は、世界中の特許を分析した結果生まれたものです。つまり、それは多くの先人たちの「知恵」の結晶という事ができます。
そんなTRIZでよくつかわれる手法に「40の発明原理」があります。
問題には「あちらが立てばこちらが立たず」という矛盾があるから解決が難しい。
しかし特許を分析した結果、そういう矛盾を解決するために考えるべきヒントが40種類見つかったというものです。
今回は、その中の22番目「災い転じて福となす」の原理について解説しましょう。
「災い転じて福となす」とは日本語訳の妙で、英語だと「Convert harm into benefit」ですから直訳すると「有害な作用を利益に転換する」といった意味ですね。
別の言い方で「レモンをレモネードにする」という表記もあるようです。
いずれにしても、「今起きている問題を利用して、役立つものにうまく変換できないか?」という視点だといえます。
今起きている問題を「消し去って」ではなく「利用して」が、この発明原理のユニークなところです。
問題を受け入れてそれを利用するという発想が、実は私はとても気に入っています。
例えば、
・その問題の専門家ではないという事を「利用して」相手に答えを考えさせる。
・自動車の排気ガスの圧力を「利用して」ターボ機構でエンジンの出力を上げる。
・人手が足りないという事を「利用して」一気に自動化を図る。
・住宅の1Fと2Fの温度差を「利用して」風の流れをつくる。
・辛いものを食べてその辛さを「利用して」汗をかき、体感温度を下げる。
・毎朝ベッドから起きるのが辛いのを「利用して」・・・・・
・この夏の暑さを「利用して」・・・・・
今あなたが抱えている問題を逆手に取って「利用して」、何らかの利益につなげる方法を考える事は、あながち悪いことではない気がしますが如何でしょう?
ポイントは、「その問題を直接なくす」のではなく、「その問題を利用して別の(良い)効果を得る」方法を考えるのです。
さぁ、今夜も熱帯夜ですから、眠れない…。
この「眠れない」という問題を利用して「新しいことを考える」という事も災い転じて福となすの応用ともいえそうですね^^