システムの対称性を崩してみよう!:非対称原理(TRIZの発明原理4番)
TRIZでよくつかわれる手法「40の発明原理」について解説するシリーズです。
問題は「あちらが立てばこちらが立たず」という矛盾があるから解決が難しい。
しかし特許を分析した結果、そういう矛盾を解決するために考えるべき40種類のヒント集を発明原理(Principles)といいます。
今回は、その中の4番目「非対称原理」について解説します。
「非対称原理」は英語で「Asymmetry」です。
直訳しても「非対称」ですね。
「何らかの問題をおこしているシステムの形や構造を、非対称にしてみたらどうですか?」という問いかけです。
問題を起こしているシステムの形や構造を非対称にする。
TRIZでは、
・物体の対称な形を非対称にする。
・物体がすでに非対称なら、非対称の度合いを強める。
という解説がされています。
例えば、容器の注ぎ口は「そこに液体を集中的に導くため」にあります。
製造的には、容器の上の形状は「丸のまま」の方がはるかに楽にできると思うのですが、その対称性を崩すことで使用する人の使い勝手は良くなりますね。

自宅にあった洗濯バサミで挟む面も、この非対称原理が使われていました。
私の記憶では、挟む面には「ギザギザ」は昔からありましたが、基本的には平面だった気がします。それがこの洗濯バサミは「凸」と「凹」の組み合わせでその対称性が崩されています。


これも製造的には「対称(=平面)」な方がはるかに作りやすいと思いますが、使用する人(=私たち)からは「非対称(=凸と凹)」な方が、洗濯物がずり落ちる心配が少なくなります。
システムや形の対称性を崩すことで「これまでの常識」を破ってみようというのが、この発明原理のユニークなところです。つまり、「これはこういうものだ」という思い込みを破る時に役立ちます。
例えば、
・これまで左右対称が常識とされていた事のバランスを崩してみる。
・あえて重心の位置をずらして不安定にしてみる。
・同じ長さのモノの長短をつけてみる。
・丸のモノ(点対称)の一か所に「ノッチ」をつけてみる。
・同じパターンの配列をアンバランスにしてみる。
・同じような組織の運営方法の一部にまったく違う仕組みを導入してみる。
・製造現場のタクトタイムをそろえるのではなく、あえてどこかのタクトタイムを縮める。
・周りからの距離を同一にするのではなく、どこかの近くに置いてみたら?
今あなたが改善しようとしているシステムの対称性を崩してみると、これまでと違う効果が得られそうだと思いませんか?
そういえば、人間の身体でも心臓や肝臓は左右非対称ですね。
物体の形状だけではなく、人間関係や組織の「形」など概念的なものにも応用できると考えています。
TRIZはあなたが抱えている問題を解決するヒントを与えてくれますよ。