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  • 執筆者の写真桑原

オンラインの台頭によって生まれるあたらしいセミナーの形について


<オンラインセミナーの台頭>

COVID-19の拡散を抑えるための対策が、いろいろな所に影響を与えています。

特に外出自粛では、私たちの仕事(いわゆる講師業)は、多くのセミナーやワークショップが延期や中止に追い込まれています。

こういう状況でどうするか?

「今の状況を打破する」と「将来への備えを怠らない」は両方大切ですが、まずは今の状況を何とかするのが大事でしょう。

今の状況を打破するために、セミナーやワークショップがオンライン開催1になっています。

改めてオンラインとは何かをちょっと調べてみました。

「コンピュータネットワークで、ノードが当該ネットワークに接続されてサービスの享受が可能な状態」(Wikipedia)の事で、「インターネットなどのネットワーク経由で提供されるサービスは、「オンライン」を頭につけて表すことが多い」(コトバンク)のだそうです。

つまりオンラインセミナーとは、インターネットを通じてサービスされるセミナーという事です。

ここ1-2ヶ月ほどZOOMなどを使用してオンラインワークショップを開催してみて「オンラインの普及がもっと進むと新しいセミナーの形が生まれるのでは?」と感じています。


<オンラインセミナーは従来のセミナーの焼き直しではうまくいかない>

すでにオンサイト(現場)でのセミナー経験がある方は、それをオンラインでやろうとしますが、あまりうまくいかない事が多いように感じます。

それは、オンサイトで対応できる柔軟性がオンラインでは有効に働きにくいという事です。

私たちのセミナーやワークショップでは、基本的にテキストを使用して進めます。

テキストはセミナーでお伝えしたいことの肝となる部分しか書かれていない事が多く、それを補完し理解を促進させる内容は、白板を使用して臨機応変に進めます。

オンライン上では、画面大きさの制約やソフトウエア上の制約のため、その対応がやりにくい。

そのために、オンサイトでやってきたコンテンツをオンライン用に作り替える必要があります。

白板に書くことで対応してきたトレンドやコラム的な話題も、事前にパワポなどで作っておく。アニメーションで印象付けしてきたことは、スライドとして分離させて流れをスムーズにする。などです。

今までは、会場の前に立って参加者の視線をプロジェクタースクリーンとホワイトボードに移してもらう事が物理的に可能だったのですが、オンラインだと講師が「(参加者の視点を)移すことが求められる」のです。そこの配慮が足りないとセミナーの満足度が下がりそうです。

テキストを使わないスタイルでセミナーをやる場合はどうなのか?という疑問がでてきますが、それは私のスタイルではないので言及しません。


<オンラインセミナーでは参加者の関係が平等になる>

さて、オンラインセミナーやワークショップをやっていて特に最近感じる事があります。

オンラインではインターネット上で「個人-個人-個人-個人・・・・」のつながりが形成されています。多くの場合、参加者は1台のPC(スマホやタブレット)でそのセミナーに参加する形が多く、画面には参加者の皆さんの顔がタイル状に見ることができます。



まさに、会議室に一堂に会しているかのように。

しかし、実際に参加者と接しているわけではないので空気感は乏しいのです。

「ネットワークを通じてお互いの存在は見えるけど、それを感じることは難しい。」という感じでしょうか。

この空気感が乏しいという事は、これまでのセミナー(会議など)ではあまり無かった事です。

「会議では上司の顔を見てなかなか発言できない」

「セミナーでは参加者の視線が気になって質問ができない」

などは、実際の場だからこそではないでしょうか?

オンラインだと、それがとても薄れる気がします。

言い方を変えると「参加者は平等である」というすこし不思議で心地よい感覚を覚えます。

だから、オンラインセミナーでは普通(会場)のセミナーよりも冷静に内容に集中できやすく、発言や質問もやり易いように感じます。

まぁ、参加者があまりに多い大規模なセミナーの場合はまた違うのですが、そのケースはセミナー運営をサポートしてくれる協力者を確保する事が不可欠になります。普通のセミナーで100名規模の経験があるからと言って、100名規模のオンラインセミナーを一人で裁こうというのは絶対にやめた方が良いです。(この内容はまた別途書きます。)

いずれにしても参加者の平等性が参加者の安心感にもつながるように感じています。

<講師と参加者の距離が近くなる>

もう一つは、講師と参加者の距離感が近くなる事です。

従来の会場でのセミナーでは、講師はひな壇の上でしゃべりスライドはその奥のスクリーンに投影される。

よって、数メーターは距離がある場合が多いですね。

オンラインだとPCの画面上ですから数十センチでいろいろなものが見える。

つまり、講師や資料との距離が近いという特徴があります。



これによって、従来よりも参加者の集中度を上げることが可能になったように思うのです。

もちろん逆に、興味が薄れればいつでも離脱できる気楽さもあるのですが…(汗)

遠くで何かしゃべっているという感覚と、目の前で何をしゃべっているという感覚の違いを分かってセミナーやワークショップを作りこむという事が大切だなと思います。

スライドもそうですし、ワークの順番もそうです。

会場全体を見渡すことなどはオンラインではできないわけですから、その情報不足をどういう内容で補うのかというワークショッププロセス設計がこれまで以上に求められていると感じています。

この講師との距離が近いという事から「質問しやすい」という波及効果も生まれますから、セミナーやワークショップが活性化しやすくなりなという印象も持っています。

ZOOM上でPCの画面を見ながら参加者と雑談するオンライン飲み会などを経験した方も多いのではないでしょうか?

ワークショップでも似たような事がオンラインの場合起きやすいと感じています。

逆に言うと、そういう設計ができない講師はポストオンラインでは淘汰される可能性が高いです。

<ポストオンラインワークショップ>

多くの人前でしゃべると緊張するという講師は別として、会場型のセミナーをオンラインでもやれるようにできたら、それを会場型に活かすことは容易だと思います。

目的は「参加者の期待を上回るような満足(成果や気づき)をもってもらう」事ですから。

今のオンラインワークショップをやっていると、オンラインの強みを意識すると共に、オンサイト(現場)ワークショップでこそ生きるものがあるのではないかと思います。

少なくとも今、オンラインでやれている部分にも「試験的」「挑戦的」な取り組みがあります。例えばポストイットを使って意見集約を図るワークショップなどは、私もまだその有効性は判断できていません。

これからICTツールがどう発展改良されていくかにもよるのでしょうが、それぞれを補う形でのすみわけなのか淘汰がすすむのか…。専門分化が進むのか統合化されていくのか。

まだはっきりしたことはわかりませんが。最初に上げた「将来への備えを怠らない」ために、「自分が描く理想のワークショップはどういうものか?」という本質を考えて作りこまなければいけない事を肝に銘じています。

最後までお読み頂いてありがとうございました。


1:発想力の基本的な知識を身につけるための5回ワークショップ

このワークショップは、アイデアを考えるために役立つことを基本から学びたい、とりあえずはアイデアをどう考えると良いのかを知りたい方向けです。

自分が受講したい回だけの参加も可能ですし、受講される方の業種は問いません。どなたでも参加いただけます。

2:発散と収束による「あったら良いな○○○○を考えよう」発想ワークショップ

 アイデア創出をもう少し実践的に体験したい方向けのワークショップです。

 受講される方の業種は問いません。どなたでも参加いただけます。

2時間でテーマについての発散的なアイデア出しと収束構造化するプロセスを体験して頂く予定です。

3:TRIZ(発明的問題解決理論)の発明原理を知るための5回ワークショップ

 創知堂が専門にしている「TRIZ」という世界中の特許を分析して得られた問題解決理論のうち、アイデア発想のヒントとして使われる「発明原理」について学びたい方向けです。

 今回はエンジニアや製造業に務めている技術系の方を対象にしています。

 各回1時間でTRIZ概論と6つ程の発明原理を学べます。

 自分が聞きたい回のみの参加も可能です。


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