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  • 執筆者の写真桑原

イベント会場の問題についてアイデアを考えてみました。

イベント開催の時に、気になる事の一つは会場内での来場者の移動しやすさです。


今年の夏に東京で開催されるオリンピックに向けて、新国立競技場でも来場者の移動のしやすさが問題になっているようですね。(2020年1月3日:日本経済新聞)


先日行われたサッカー天皇杯では、グランドと観戦席の距離が近くて臨場感があるものの通路が狭くて移動するのが大変だという記事が上がっていました。


この場合、どのように問題解決するか?はいくつかのアプローチが考えられます。


その最も基本的なものは「移動しづらいのだから、移動をできるだけ容易にするアイデアを出す(工夫をする)」というものです。


例えば「誘導員や補助員を増やしたらどうか」というアイデア例が浮かびます。


私が得意にしているTRIZ(発明的問題解決理論)では、その問題に存在する矛盾に着目して考えていきます。


つまりここには、

a.通路が狭い(=移動が困難だ)が、選手との距離が近い(=臨場感がある)

b.通路が広い(=移動は楽だ)が、選手との距離は遠い(=臨場感が乏しい)

という矛盾が存在している事がわかります。




理想は「移動しやすさ(広い通路)」を確保したまま「臨場感を得る(選手との距離感の近さ)」事です。


そのために4つの方針で考えてみましょう。

1. 矛盾を空間で分離する。

2. 矛盾を時間で分離する。

3. 矛盾を条件で分離する。

4. 上位システムへ移行する。


1の「矛盾を空間で分離する」とは、それぞれに必要な場所(空間)で矛盾を両立させようという考え方です。

例えば、

・広い通路と狭い通路を均一に作るのではなく組み合わせながら作る(入れ子原理、非対称原理)

・通路を立体交差に構成する(他次元移行原理)

・観客席をオーバーハングさせる(他次元移行原理、ダイナミック性)

・通路を斜めに作る(分割原理、他次元移行原理)

などのアイデアが浮かびました。


2の「矛盾を時間で分離する」とは、それぞれ必要な時間を区切って矛盾を両立させようという考え方です。

例えば、

・可動式の座席にして通路を自由に変更可能にする(ダイナミック性原理)

・座席への移動の動線をあらかじめきちんと決めておく(先取り作用原理)

・試合中は座席がスライドして通路が無くなる(ダイナミック性原理)

・優先移動などで対応する(事前保護原理)

などのアイデアが浮かびました。


3の「矛盾を条件で分離する」とは、任意の場合で条件を区切ることで矛盾を両立させようという考え方です。

例えば、

・車いすの方には専用の通路を作る

・冬場は荷物預かり所を拡大して持ち込み荷物を少なくする

などのアイデアが浮かびました。


最後4の「上位システムへ移行する」とは、そもそもの矛盾が無くなるようなアイデアを考えてみようというものです。つまりこの問題の場合は「通路とか関係なく臨場感を得られる方法を考えてみる」という感じです。

例えば、

・臨場感を得るために3D眼鏡を使用する

・臨場感を得るために来場者のスマホに3D画像を送る

・入口から座席へ自動運転カートで移動する(ディズニーランドのイメージ?)

などのアイデアが浮かびました。


もちろん、移動しやすさを実現させるために、通路だけではなく他の因子に着目する事も必要ですし、それによってもっと斬新な解決アイデアが生まれる事もあります。


その時は「なぜ、会場内が渋滞するのか?」という問いで原因分析し、具体的な原因をつかむアプローチができますし、渋滞発生の要因をあらかじめ洗い出しておいて、その対策を会場構造に盛り込む設計を行う事も可能です。(分析思考から発想思考)


一方で、通路というハード面だけではなく「臨場感」というソフト面で対策することも思考の柔軟性を持つという点では大切な事です。(水平思考)


お正月からのリハビリのお役に立てればうれしいです。


創知堂は「分析思考」「発想思考」「統合思考」で、皆様の問題解決のお手伝いをいたします。


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