TRIZとは?
TRIZは、ロシアの特許審査官だったGenrickh Altshullerによって体系つけられた体系的問題解決理論です。
250万件に及ぶ特許を分析した結果得られた知見をもとに、矛盾の克服やシステム進化のための思考プロセスがまとめられています。
思い込みや先入観を排除すること、先人の知恵をヒントにしてアイデアを発想することが特徴です。

TRIZとは何か?:
TRIZ(トゥリーズ)は、世界中の特許を分析して「優れた発明に至る思考には類似性がある」という事を見出したロシア人Genrickh Altshullerによって構築された理論です。
旧ソビエト連邦時代の海軍特許審査官であった彼により1946年から1985年の約30年間で基本的な仕組みが作り上げられました。
その時分析された特許の数は最終的に250万件に及ぶと言われています。
冷戦の最中は旧ソ連国内でのみ活用されて外部に漏れることはなかったのですが、1991年のペレストロイカによってロシア国内のTRIZ専門家がアメリカなどに渡り、世界中の製造業の問題解決に使われることになりました。
日本へは1996年に紹介され、富士フィルムなどの企業の技術開発で導入が進み、今では多くの製造業の開発から製造の現場で活用されています。
TRIZの3つの特徴:
一番目は、「問題とその解決策は産業の分野を超えて繰り返される」というものです。
これは、いろいろな分野で「似たような問題と似たような対策」が行われているという事で、例えば「自動車のガソリン代を抑えるためにできるだけ急発進や急加速はしない」という事と「エアコンの電気代を抑えるためにできるだけ電源のオンオフではなく温度調整で対応する」という事は「急な動作変化よりも緩やかな連続運転の方が良い」という点で似ていませんか?
また、問題は多くの場合「矛盾」をはらんでおり、優れた特許はそれらの矛盾を鮮やかに解決している事に気づきました。
その矛盾克服という切り口でまとめられた「発明原理」という手法がTRIZではもっとも広く知られています。
二番目は「システムが進化(変化)していくパターンは産業の分野を超えて繰り返される」というものです。
一番目と似ているように感じますが、これは「システムの改善の流れは同じルートをたどることが多い」というものです。
例えば、洗濯機について思い出してみましょう。
昔は脱水機は無く自分の手で洗濯物を絞っていましたが、脱水槽ができてとても楽になりました。その脱水槽のある2槽型洗濯機はいつの間にか全自動洗濯機に置き換わり、今では乾燥機能までついています。
つまりそれを利用する人にとって「できるだけ楽に作業できるように改善されていく」という事です。
TRIZ的に言いかえれば「システムが自律的に作業を行う方向に進化していく」という事なのです。これなどはこれからのロボット社会を予感させるものではありませんか?
三番目は、「技術革新は自分の専門分野以外の知識や技術で実現される」というものです。
つまり、とても斬新でイノベーティブなシステムは、今のシステム以外の方法に置き換わっていくのです。
例えば、音楽用のステレオで使われるメディアは1980年代まではレコード盤でした。
レコード盤はレコード針で溝の凹凸を接触検出し、それを電気信号で表現するものです。音楽好きの皆さんなら経験があると思いますが、レコードは聴けば聴くほど溝がすり減ってしまい、音質にも影響を与えます。もっとたくさん聴きたいけど聴けないという矛盾。これを解決したのが「光ピックアップ(レーザー技術)」です。ダイヤモンド針による接触式信号検出から、光ピックアップ技術による非接触式信号検出に進化し、レコード盤がコンパクトディスク(CD)に置き換わることで、音楽の楽しみ方が大きく変わりました。今はそのCDも半導体ストレージに置き換わっています。
このように、「今自分が抱えている問題と似たような状況が、今どこか別のところ(分野)に無いか?」とか、「これまでの解決策の流れから考えると次はこういう解決策もありそうだな」とか、「もっと違う やり方ができないか?」などと考える事は、ゼロベースで問題解決を始めるより数段早く良い解決策に至ると思いませんか?
そしてそれは、「自分の思いや考えに固執しすぎない」「思い込みを無くして考える」「アイデアは多様性を求める」というTRIZの基本思想そのものです。